社是や事業目的といったスローガンで伝えるメッセージを、もっと強烈な印象として伝えられるのがビジュアル。漫画のトーン&マナーは、毒にも薬にもなる劇薬です。

「あの漫画みたいな感じ」からスタート

企業で漫画を制作しようという時に、目的、ターゲット、媒体、予算などを決めていきますが、特に大切な項目の一つがトーン&マナーの策定です。

ルールではなく、マナーとなっている通り、そこまでガチガチに定義される必要はありませんが、プロジェクト・チーム(制作、作画担当者含め)全員が同じ枠組みの中でストーリーを展開し、画やキャラクターに起こしていくことが求められます。

  • 『課長島耕作』であれば、ビジネスマン
  • 『ゴルゴ13』であれば、海外でのサバイバル
  • 『北斗の拳』であれば、悪い奴を瞬殺していく
  • 『君の名は。』であれば、とにかく今風(脱・昭和)
  • 『カイジ』であれば、一発逆転/ギャンブル
  • 『バガボンド』であれば、一本筋の通ったサムライ

人気漫画には一般的なイメージが定着していますので、その画風が伝える雰囲気が、作品内のセリフや言葉以上に影響力をもつことも考えられます。場合によっては、その漫画だけでなく、他の商品や会社全体に及ぼすことも考えられますので慎重に選定しましょう。

とはいえ、まずは「あの漫画のイメージ」というところから議論をスタートするのがよろしいかと思います。ただし、念のため注意しておきたいのは、

格好いいサラリーマンを主人公にしたい。そうだ、『課長島耕作』みたいな感じで!

となった場合に、『課長島耕作』は架空の初芝電機産業だから描かれた表現、

  • 創業者が愛人を囲って隠し子がいる
  • 社内にインサイダー取引に手を染める輩がいる
  • 上司がセクハラをしている
  • 雇った探偵が盗聴まがいな行為を行う
  • 銀座のママとの性描写
  • 東南アジアで同僚がピストルで射殺される

などで形成されています。中国マフィアなんかも出てきます。まさか、企業が発信する漫画では盛り込めないであろう暗黙の枷(かせ)がありますので、ストーリーにパンチを盛り込みづらいことは、ある程度想定しておく必要があります。一コマ〜数ページ程度の場合は、さほど問題ではありませんが。

プロットで、ストーリーの型を決める

それでも、企業漫画にそぐわない表現を避けながらエンターテイメントに仕上げていくのが知恵の出しどころです。家族愛をテーマにした人情噺や、問題を抱えた友人を助けるなど、話の骨組みとなるプロット(あらすじ)を確認しながら、ストーリの型を決めていくといいでしょう。

また、商品説明の押し出しの強さも考えておく必要があります。

いわゆる子供向けの歴史漫画のような、しっかりと説明を中心に置いていく方法もありますし、あくまで一般的なストーリーの中にプロダクトプレイスメントに近い形で商材を置く方法もあります。

トーン&マナーの一部として初めに確認しておくとスムーズに進行できます。